計画的俺様上司の機密事項

「どうした?」


「シンちゃん、わたし……」


「夏帆、お前、もしかして……?」


覆い被さっていたシンちゃんが、ふっと軽く笑い、ベッドから降りてそばにある椅子に腰掛けた。


「オレのこと、好きでもないって言ったよな」


「……そ、そうだけど」


「そんなやつと寝るわけねえだろ。安い女になんじゃねえよ」


そういってシンちゃんは呆れながらため息をついた。


「だって、条件が、って」


「ったく、カマかけたんだよ。お前はそんな女じゃねえよ」


シンちゃんがますます呆れている。

でも、さっきわたしを見ていた目はいつもと違って男の人の目だった。

机の上に放置された城の空き箱をとると、わたしのほうへ投げた。


「ほら、せいぜい城の模型の箱でも抱いて寝てろ」


「……シンちゃん」


「だから言ってるだろ。教育するって。最初から突っ走るな」


「……ごめん」


「明日も仕事だろ。さっさと寝ろ」


「……おやすみなさい」


しかたなく、空き箱を抱きしめていると、その姿がおかしかったのか、シンちゃんは軽く笑ってくれた。


「でも、オレに対する口の叩き方も教育しなおさないとな」


そういって、シンちゃんは部屋を出ていった。

城の空き箱をまたぎゅっと抱きしめる。

自分が誘っておいて、結局何もなかった。

おやじなシンちゃんになるときもあるけど、わたしのことわかってくれてたんだな、と安心した。

なんだか急に恥ずかしくなって、また箱をぎゅっと抱きしめた。