計画的俺様上司の機密事項

「まだぼんやりしてたのか」


髪の毛をタオルでゴシゴシと乾かしながら、シンちゃんは居間にやってきた。

冷蔵庫から水の入ったピッチャーを取り出し、グラスに注ぎ、のんきに水を飲んでいた。

ここに住んでいるのが当たり前のような振る舞いに苛立った。


「シンちゃん、早く、新しいところを借りて出ていってください」


「何いってるんだ。お母様の了承を得て住んでるんだ」


「わたしの了承は得てませんっ」


「そういいながら、ちゃっかりご飯は食べるくせに」

そう言われると、何も言えない。

確かにちゃっかりシンちゃんのご飯を食べている。

わたしを冷たい目でみて、ため息をもらした。


「そっか。出ていってほしいなら、こっちの要求も飲んでもらわないとな」


「なんですか」


「オレと一晩つきあう」


「は!? 何いってるんですかっ。そんなことできるわけないでしょ」


「いい条件だと思うけど」


「好きでもない人とは一緒に寝ません」


またシンちゃんが真顔になった。

それからすぐに普段の顔に戻ると、軽く笑った。


「ほう、そうですか。同居人ですからね。失礼しました」


「オレはいつでも構わないけど。待っているのは苦にならないから」


どきんと胸をついた。

どこかで聞いたフレーズだったから。


「オレを追い出したければ、その要求は飲むんだな。おやすみ」


そういうと、静かにシンちゃんは自分の部屋へと戻っていった。

シンちゃんのことなんか、よくわからないのに、好きになるわけないじゃない。

好きになんか。