計画的俺様上司の機密事項

「そういうのは他の人にやればいいのに」


メモをしているその横でわたしはむすっと怒りながら、シンちゃんに言った。


「他の人? こんな近くにいいモニターがいるのにもったいないだろ」


そういって、またメモ帳に記録していく。

書き終えたらまたわたしを見つめてきた。


「ちょ、ちょっと顔、近いってば」


すると、わたしの体に自分の体を寄せ、真剣な目つきになる。

吸い寄せられるような、その瞳をみていた瞬間、軽く唇同士が触れ、すぐにシンちゃんは唇を離した。


「な、なに!?」


「教育の一環ですが、何か」


そういってさらに人差し指のはらでわたしの唇をなぞっている。

強くなって自分から顔をそむけた。


「ね、なにしてるの!」


「夏穂の唇に触りたかっただけ」


もうわたしに用はなくなったかのように、やっぱりメモ帳を開いて何やら書いている。


「顔、赤くなってるぞ」


「だ、だって」


「少しは慣れとけ」


メモを書き終えると、シンちゃんは横目でちらりとこちらをみてきた。


「慣れるって言われたって」


「まだまだオレの教育はこれからすごいことになるんだから、な」


そういって、ニヤリと笑っている。またおやじシンちゃんが出現した。


「すごいことって。そんなことしたら大声で叫ぶから」


「違った声、あげてもらっても構わないけど」


「違ったって、もう、シンちゃんはおやじすぎるっ」


「はいはい、おやじで悪うございました。さーて、お風呂沸かしてこよーっと」


そういって、上機嫌な様子でシンちゃんは居間から出ていった。

こんな調子でシンちゃんとこれから一緒に生活だなんて、先が思いやられるわ。