計画的俺様上司の機密事項

案の定、紙袋を振り回した結果、ちょっとこぼれたコーヒーのコップを手に午後も仕事に集中した。

情報誌の作成もこの号で身を引くと思うと、短かったけどやりがいが持てた。

新しい部署でも先輩たちに指導してくれたことを胸に仕事を続けていこう、と思いながら仕事をしていると、有沢〜、と少し間の抜けた声を発しながら渡瀬先輩がわたしを呼びつける。


「どうかしましたか、渡瀬先輩」


「まーた、データが変な風になっちゃったよ」


「わかりました。ちょっとやってみます」


「頼むよ」


先輩たちに頼りになれてうれしい。

開けなかったデータを無事に直して渡瀬先輩に託すと、やっぱり有沢はこの部署には必要不可欠だな、と顔を赤らめながら言ってくれてちょっとだけ胸があつくなった。

仕事が終わり、無事家に着く。鍵を開けてドアを開けると、やっぱりいい香りが部屋中に流れている。


「いるんだから、ドアホン押してくれたら出たのに」

鍵を開けてドアを開けた音を聞きつけて、どたどたと居間から玄関まで走ってやってきた。

今日も暑かったので、黒いTシャツにジーンズ、ギャルソンエプロンをつけたシンちゃんが腰に両手をあてて、むすっとふくれていた。


「ついつい一人のくせがついちゃって。明日からしますから」


「なら、よし! ちゃんと手洗いうがいしてこいよ」


そういってシンちゃんは居間へ行ってしまった。

相変わらず言うことがお母さんだな、と呆れながら洗面所へ向かった。