計画的俺様上司の機密事項

毎朝、会社に行く前にコンビニに寄って、昼ごはん用のパンかおにぎりを買うついでに午後用にもコーヒーを買っていた。

気分転換にコーヒーでも買いにいこうと、外へ出た。

会社から出て向かいにあるコーヒーチェーン店に行ってコーヒーを買って出ようとしたところに、親しげに声をかけてきたのは、野上くんだった。

すらっとした体型に似合うスーツを身につけているから、別の会社の制服を着たOLさんや女性のお客さんが野上くんに目を奪われているのがわかる。

さすがにわたしもドキっとしてしまったから。


「有沢さん」


すっと耳になじむ、低音の声。

全体的に清潔感が漂い、おまけに整った顔立ちをみるだけで、目のやり場に困る。

どうしていいかわからなくなり、紙袋に入ったコーヒーを振り回しそうになる。

よくわからない態度をとっているのがわかると、野上くんはニコっと軽く笑ってくれた。

とりあえず、会社への帰り道、何か話さないと場が持たないので話を振ってみた。


「野上くん、お昼食べたの?」


「うん。さっきのお店でね。そうだ。今度の異動、有沢さんと一緒の部署になるなんてね」


「わたしはいいとして、野上くんはさすがだと思うよ。だって優秀で、総務の先輩たちが放っておけないっていう話、ウチの先輩たちから聞いてたから」


「そうかな」


そういいながら、野上くんは照れながら頭をかいていた。


「僕は、今回の異動はいいチャンスだと思った。それに、有沢さんと……。まあいいや。またね」


「うん」


野上くんは駆け足で階段をのぼっていってしまった。

颯爽と駆ける野上くんは青春ドラマに出てきそうな人だなあ、とのんびり構えていた。

しかし、野上くん、一体何を言おうとしたんだろう。