計画的俺様上司の機密事項

会社につき、自分の席に座ろうとしたとき、ひとつだけまっさらな机があった。


「おはようございます」


真鍋先輩と渡瀬先輩にあいさつする。


「部長、挨拶もそこそこに異動しちゃった」


真鍋先輩がバインダーから書類を取り出して確認しながら話しかけてきた。


「……そうですか」


昨日、あんなことがあったから、合わせる顔なんてないだろうし、あいさつなしで異動しちゃうよな。


「どうした、有沢」


渡瀬先輩は少し心配そうにわたしを見つめている。


「いえ」


真鍋先輩と渡瀬先輩がやはり顔を見合わせた。


「有沢さん、園田部長にやっぱり狙われてたの?」


「え、いや、その」


バレてるのかな。確かに就業時間中も何かと話しかけられていたから無理ないか。


「まったく若い女をターゲットにすりゃあいいと思って」


「渡瀬、まあ、いいんじゃない。ウチの部に被害者が出なくて」


「まあね」


さて、仕事はじめるか、と渡瀬先輩がいうと、真鍋先輩から、有沢さん、校正お願いね、と仕事を渡された。

文字校正をしながら、ふと目にしてしまう、まっさらな机。

そういえば、仕事中、気がつけば目があっていたし、ちょっと仕事上のことでミスをしてもカバーしてくれていたな、と仕事のときはお世話になったな、と思い出にふけってしまう。

それもわたしにつけいる隙を狙っていたんだと今考えればわかることなのに。

早く仕上げないと優しい真鍋先輩が鬼先輩に変身してしまうから、丁寧に校正をしていった。