計画的俺様上司の機密事項

着替えを終え、部屋の外へと出ると、廊下中にいい香りがたちこめている。

扉を開け、ダイニングテーブルへと足を進める。

ダイニングテーブルにはお味噌汁、厚焼きたまご、焼魚、焼きのり、納豆、サラダ、ごはんが並べられている。

いつものわたしだけの朝食は食欲があれば食パンとコーヒー、食欲がなければ水を飲んでそのままでかけるのだが。

シンちゃんは席について、わたしを待っていた。

待っててくれていたんだと知り、急いで自分の席に座る。


「こんなに食べられるかな」


「これぐらい食っとけば、昼までもつ。ちゃんとカロリー計算してあるから」


「わ、わかりましたよ。いただきます」


お味噌汁を飲む。

大根と人参の合わせみそを使ったお味噌汁だけど、しっかり出汁がきいていておいしい。

魚の焼き加減、塩加減も絶妙だし、厚焼きたまごにいたっては甘く作られているのにしつこくない。

食べながら感じることがある。何だろう、この違和感。

まるでお母さんと暮らしてるみたい。


「まるでお母さんみたいね」


「ああ。オレにとっちゃあ、夏穂の保護者的な人間だな」


「って、そんなこといって」


「しばらくご厄介になりますんでね」


そうやってすました顔をしてシンちゃんはいうと、のんきにお味噌汁をすすった。

軽く言われたわたしはかちんときて、箸を止めた。


「いつまでいるんですかっ」


「教育が済んで、仕事に軌道が乗れば、かな」


「困ります。すぐに出ていってくださいっ!」


「オレも困るけど、一番は夏穂が困るんじゃない? 夏穂が追い出すなんていったら、お母様、悲しがるだろうなあ。夏穂、心配かけたくないんじゃないの?」


そういうと、シンちゃんは何事もなかったようにパリパリと音を立たせながら、ごはんに焼きのりを巻いて食べていた。