計画的俺様上司の機密事項

さっきからずっと待っているのに、様子が変だ。

ぶるぶると振動が伝わり、クックックと笑う声がしたので、目を開けると、シンちゃんが高笑いをした。


「お、何、口をとがらせてるんだ。ひょっとこのお面か、夏穂は」


「シンちゃんっ」


「あはは。顔の手入れもちゃんとしないと、あとでえらいことになるぞ」


「まだ若いんでいいんですっ」


「はい、それ、ダメ~」


そういうと、ズボンのポケットから小さなものを取り出した。


「試供品もらったんだ。これつけとけ」


ビニール袋に包まれていたものを開けると、中から化粧水と乳液が入っていた。


「感想も聞かせろよ。とりあえず聞いとけって言われてるから」


「え、これ?」


「新商品のモニターだよ。次に出るタウン誌のモニター」


「あ、そうでしたか……」


「では、おやすみなさい」


まったく、油断も隙もないな、と思い、モニターだとはいえ、シンちゃんからもらえるなんて嬉しかった。

自分の部屋に戻ろうとしたとき、腕につかまり、ほっぺたにキスされた。

「な、なんで、今」


「フェイントだよ」


「し、シンちゃんっ」


「教育しがいがあるな、夏穂は。それじゃまた明日な」


シンちゃんの顔を見ずに、急いで自分の部屋に戻った。

もらったスキンケア商品を開けて顔全体に伸ばした。

キスされた左の頬が熱を放っている。

これじゃ、ドキドキして眠れないじゃない。