計画的俺様上司の機密事項

誰にも言わない、秘密にしておくから、って園田元部長は言っていたのに。

自分からペラペラとしゃべるなんて。


「噂を聞きつけて、園田部長にそれとなく話を聞き出してね。相談に乗ってあげてた。資料室で話し合いするのはどうって提案したのは僕なんだ。結局ダメになるってわかってないんだもんなあ」


天井を仰ぎみながら、野上くんはしみじみと憐れむように渋い顔をした。


「いい歳こいて何エロいこと想像してんのかな。有沢さんとは不釣り合いだってのに。笑っちゃうよね」


ここにいるのは本当に野上くんなのか、と思ってしまう。

自分にいいようにずる賢く行動するような人にはみえない。

朗らかで研修のときもいつも目と目があっただけでも笑顔をかえしてくれる、感じのいい人だったのに。


「ねえ、本当にどうしたの。いつもの野上くんじゃない」


「いつもの? これが本来の僕だけど。これでも優等生キャラを演じるのもツライんだよ」


「だって、誰からも好かれて仕事も率先してこなして」


「ああ、だって先にやっちゃったほうが文句言われないでしょ。無理なら他の人にやってもらう。基本じゃない」


「で、どうしてわたしなの? わたしのどこを好きになったっていうの?」


「他の女子にくらべたら楽かなって。有沢さん、特別派手っていう感じでもないし、オンナっぽさを出してないんだよね。食事にいったのに逃げられちゃうし。逃げると追いたくなるんだよね」


わたしといると楽だなんて。

そんな目で野上くんはわたしのことをみていたんだ。


「強いて言えば、オンナを隠してる感じが出て、そそるものがあるけど」


野上くんはアゴに手をやり、わたしを舐め回すように上から下へと首を動かしている。


「で、どう? もう決まった?」


「決まったもなにも、野上くんとは今夜もこれからも一緒に過ごさない」


「へえ。答えはバツなんだ。まるで園田元部長みたいな、あしらい方だね」


「だから、園田元部長とは何もないから」


その言葉をきいて、野上くんは鼻を鳴らした。