計画的俺様上司の機密事項

「模型屋の近くだっけ、有沢さんのウチ。有沢さんのウチに結城部長が入っていくの、みたんだけど」


野上くんのさらりといった言葉に、ぞっと背筋が凍る。

野上くんは平然とした態度であざ笑うかのようにわたしをみつめる。

というか、どうして野上くんがそのことを知っているのか。


「えっ。どうしてわたしのウチ、知ってるわけ」


「仕事から帰る有沢さんを見かけて、ここなんだな、って。週末になってそれとなくこの近所にきてみたらマンションの一室に結城部長が入っていった」


野上くんの言動が怖い。


「ん? そういえば、同じマンションに住んでるとかって聞いたけどなあ」


と、とぼけながら野上くんの発言を消すように話をした。


「秘密にしておくからさ」


「秘密っていわれても、それに勝手にわたしのウチを探ろうっていうのがどうかしてるって」


「あのさ、諦めないっていった言葉、覚えてる?」


「わかってるけど、野上くんのこと、好きじゃないし」


野上くんは眉毛と眉毛の間にしわを寄せる。

ギロリと出張中シンちゃんがいなかったときに見せた険しい表情だ。


「そっか。そうやって僕のこと、バカにするんだな。園田部長をたぶらかせておいて、今度は結城部長かよ。女の武器でも使って新しい部署に配属決めたのかよ」


「そんなことはない。人選はちゃんとしてるはずだよ」


「そうやって甘い顔して男に寄生しようとしたってそうはいかないね」


「わたしのことはいいから、結城部長のことは許して」


「許してあげる。条件はひとつだけ」


険しい表情から一変して、穏やかでさわやかな顔に野上くんが戻った。