計画的俺様上司の機密事項

きっと初めてシンちゃんがわたしのウチにきたときにみた、フライパンや鍋の焦げ付き具合を知っているから余計に頭にきているんだろうな。


「大丈夫、大切なフライパンとか鍋とか触ってないから」


「ならよし」


といいながら、自分の部屋から長袖のTシャツにジーンズ姿のシンちゃんに変身してやってきた。


「ちょ、ちょっと待ってて」


シンちゃんがダイニングへ行こうとしていたところを引き止めた。


「ああ、出張のカバンの荷物の整理してるから」


「うん」


「そうじゃない。たいしたもんじゃないけど」


「わかったよ」


シンちゃんは自分の部屋に引き返し、わたしは台所へと向かう。

炊きたての熱いごはんと格闘して皿に並べると、横にはシンちゃんが立っていた。


「こんなもんだけど」


お皿に乗った形がいびつなおにぎりを差し出してみた。


「お前、これ……」


「たいしたもんじゃないけど。そういえば昔、初めてシンちゃんがうちに来てくれたとき、作ったな、って思って」


「夏穂……。覚えててくれたのか」


シンちゃんは声を震わせ、目を輝かせて喜んでいる。


「この味、食べたかったよ。ようやくここへ帰ってきたって感じだ」


「……ありがとう。シンちゃん、今まで」


「な、なんだよ。帰って早々。寂しかったのか? ん?」


「な、なんでもない。いなくてせいせいしたんだから」


「あ、そう。てっきり男でもとっつかまえて部屋に引っ張り込んだかと思ったけど」


「そんなことできるわけないでしょ」


「はいはい。このおにぎりにぴったり合うおかず、つくるから、待ってな」


「だって、シンちゃん、帰ってきてゆっくりしたいでしょ」


「夏穂と久々にこうやってご飯食べられるんだから、そっちを優先させてもらう」


ぽんぽんと頭を軽く撫でてくれた。

確か、初めてシンちゃんにおにぎりをごちそうしたときも、ぽんぽんと頭を軽く撫でてくれたことを思い出した。