計画的俺様上司の機密事項

野上くんに殺気を感じる。

端正な顔立ちに穏やかで爽やかに笑って接してくれたのに、今ここにいるのはまるで別人にでも乗り移られたような険しい形相をした野上くんだった。


「野上くんと違って、仕事も野上くんもわからないよ。ごめんね」


野上くんは両手でわたしの机を力まかせに叩いた。


「どうして僕を避けるわけ?」


「避けてないよ。仕事だし、なかなか話せないっていうか」


「せっかく二人で仕事を進めようって計画してたのに」


「勝手に決めないでよ。野上くんと話し合いながら仕事しなかったのは申し訳ないっていう気持ちはあるけど、部長の指示で下での作業、手伝ってるのに」


もしかしたらわざとシンちゃんがわたしと野上くんとの接触を少なくしようという画策で下の作業を重視しようとしてくれたのかもしれない。

でも、こんな真面目な人をここまで変化させたことに申し訳なさでいっぱいになった。


「少しは僕のこと、気にしてくれてるんだ」


「もちろんだよ。同じ部だし、こっちができない分、野上くんが率先してやってくれているって甘えてしまったのは悪かったと思ってる」


なんとかここで野上くんの怒りをおさめようと必死だった。

わかってくれたのか、あんなにきつい顔つきだった野上くんは態度をやわらげる。


「そう思ってくれるならいいけど。僕だけじゃ不安なこともあるんだよ」


「……ごめん」


小さな声で、ごめん、と伝えることだけで精一杯だった。