計画的俺様上司の機密事項

12月に入り、掛け持ちしている仕事も順調にこなしていたつもりだった。

二つのことを同時進行することはスケジュール的にどうかな、と思いつつ、進歩状況を確かめられるようにバインダーにはさんだお手製のカレンダーに記入して、渡瀬先輩と真鍋先輩と確認をしあいながら仕事を進めていく。

少し記事の作成が遅れ気味になっているけれど、締め切りに間に合えば大丈夫とたかをくくっていた。

無事に2週間も過ぎた金曜日の朝。

昨日の夜、シンちゃんから『今日戻る』とメールが入っていた。

ようやくシンちゃんに会える。

それだけを楽しみに仕事をしていたといってもいい。

記事をまとめてから下の階へと行こうと思っていたときだった。


「有沢さん、仕事進んでる?」


「え、まあね」


野上くんはわたしの席に歩み寄ってきた。


「みせてよ、進歩状況」


といって、机の上にのっていたバインダーを取り上げた。スケジュールをチェックしている。


「ちょ、ちょっと勝手にみないでよ」


「計画を立てているわりには、ウチの部の仕事、あんまり進んでないみたいだね」


バインダーを元に戻し、野上くんは腕を組んだ。


「ごめん。下の階の仕事、急ぎだったから」


「こっちの仕事だって締め切りがあるんだよ。どうして守らないのかな」


「ちゃんと締め切りに間に合わせるって」


「ギリギリにやってイレギュラーな案件が発生したらどうするの? ある程度余裕を持たせないと」


「わかってる。わかってるって」


「わかってないよ、有沢さんは。仕事のことも、僕のことも」


野上くんは怒りをむきだしにするかのように声を荒げた。