計画的俺様上司の機密事項

日曜になり、母の仕事が休みになったとメールがあった。

日曜の午後を少しまわったところで、母が久々にウチに戻ってきた。


「夏穂。戻ったわよ」


「お母さん……」


玄関で出迎えると、母の顔、声をきいて、心細かった気持ちが一気に晴れた。

だけど、久々に目にした母の体が少し小さくなった気がした。

仕事の関係と母の実家の両親の両立でやむなく引っ越しをした母だ。

日頃の苦労が体に現れてきたのだろうか。

居間へと移動し、お母さんはソファにゆっくり体を沈めていた。

きれいに揃えられたお茶の缶をサイドボードから取り出し、これまたきれいに洗われた急須に入れ、湯飲みにお茶を淹れた。

ソファにゆったりと座る母の目の前にあるテーブルに湯飲みを二つ並べ、お母さんの隣に座った。


「なかなか連絡できなくてごめんね。シンちゃんには逐一連絡してるから安心してたけど。シンちゃん、二週間ぐらい家あけてるんでしょ。一人で大丈夫?」


「うん。平気」


「ならいいんだけど。出張前にシンちゃん、ずいぶんと夏穂のこと気にしてたわよ」


シンちゃんがわたしのことを気にかけてくれている。

改めて母から言われ、じんと言葉が胸を打つ。


「どうしてお母さん、シンちゃんを同居させたかわかる?」


「わからない」


「ずっと守るんだっていってくれてたのよ」


「え……」


「小さい頃、あんた遊具で怪我したことあったでしょ。それで責任感じちゃって。シンちゃんの家、離婚してお母さんと一緒に引っ越さなければいけなくなって、ずっと守ってやれなくて苦しかったんだって。このウチをどうしようかと思ってたら、シンちゃん、東京からこの地方に戻ってきたでしょ。彼の強い思いにね、やられちゃった」


「……そうだったんだ」


お母さんは湯飲みを手に取り、味わうように静かにお茶を楽しんでいた。