計画的俺様上司の機密事項

「聞きたいことは何かね」


「あのわたしと結城部長の噂ですけど、緊急会議と何か関係があるんでしょうか」


ゴクリと生唾を飲み込んだ。

それをみた常務はまた威勢良く笑った。


「そんなこと、気にしなくても大丈夫。緊急会議は同業他社が新媒体をつくるらしくてその調査を兼ねて東京の視察にいってもらっているんだよ」


「そうですか。となると、もしかして東京にオフィスとか」


「可能性はなくはないね。あちらは地方と違って最新のトレンドにあふれているからね。地方は地方なりのものはあるものの限度があるから。最終的には全国にウチの情報を発信できたらいいと、結城がいっていたから、少しでも叶えるために行かせただけだよ」


「わかりました。余談で申し訳ありません」


頭をさげると、常務は、いい、そんなに気にしなくてもと手を振ってくれた。


「それじゃ、またね」


「はい、失礼いたします」


9階の部屋をあとにし、エレベーターホールへと出た。

シンちゃん、東京へ異動になるのかな。

そうしたら、わたしとの同居も解消になるんだ。

エレベーターを待つ間、急にせつなくなって、目頭があつくなった。

3階に戻ると、わたしの姿をみた二人の先輩が駆け寄ってきた。


「ちょ、ちょっと有沢、目、赤くなってるじゃん。やっぱり常務に怒られたわけ?」


「い、いえ、違うんです」


どう気持ちをごまかせばいいか、わからなかった。

わたしのことはどうだっていい。

シンちゃんがもしかしたらこの会社を離れてしまうかもしれないと思っただけのことなのに。


「まずは仕事あげようか」


「すみません。心配かけて」


「有沢、無理すんなよ。有沢のおかげで助かってるんだからな」


渡瀬先輩と真鍋先輩の屈託のない笑顔に囲まれて縮まった心がほぐれた気がした。