計画的俺様上司の機密事項

ガチャっとドアを開ける音がする。


「あら、お邪魔だった?」


目を開けると、首をひねりながら真鍋先輩は入り口に立っていた。


「真鍋先輩!」


わたしが先輩の名前を叫ぶと野上くんは、さっと手を退け、わたしから離れた。


「野上くん、もしかして有沢さんを狙っているんじゃないでしょうね。同期に手を出してるなんて噂を立てられちゃまずいんじゃない? この部、部長の件で噂の的になってるんだし。野上くんそれでもいいの?」


野上くんは悩ましげに口を真一文字にしていた。


「まあ、私がしゃべらなければいい話なんだけど。それより、仕事が優先。人手が足りないのよ。有沢さん、お願いできないかな」


「……わたしはいいんですけど」


ちらりと野上くんを横目でみる。

野上くんは素知らぬ顔をして自分の席について仕事をしはじめた。


「結城部長からも、許しが出てるの。あ、そうそう、野上くんもたまには下の階に遊びにくるのはどう? 楽しいわよ。こことは違った仕事ができるから」


「僕は今やっている仕事で手一杯なんで」


「あらそう。残念ね。じゃあ有沢さん、お手伝いしてもらおうかな」


「は、はい」


「野上くん、この部屋の留守番、よろしくね。有沢さんを借りるけど」


「部長の指示なんですよね。どうぞいってきてください」


「ごめん、野上くん、しばらくの間、こっちと下と行ったり来たりするけど、よろしくね」


野上くんは何の反応も見せず、パソコンのキーボードを強く叩いている。

真鍋先輩と部屋を出るとき、チッと野上くんの舌打ちが聞こえた。