計画的俺様上司の機密事項

今日はこれ以上呼び出したらかわいそうだから、電話しないから、と渡瀬先輩がいった。

どうしてそんな噂話なんかでてきたんだろう。

もしかして野上くんが?

自分の席に戻るやいなや、野上くんが得意げな顔をして話しかけてきた。


「有沢さん、社内掲示板みてよ」


「え? 社内掲示板?」


パソコン内の社内掲示板を立ち上げる。

トップ画面に緊急会議のお知らせの文字が躍っている。

内容は部長クラスの人たちが緊急に集まるらしい。


「緊急会議だって。どうしたんだろうね」


野上くんは口に手をやり、笑いをこらえながら話していた。

そんな態度を目にして急に腹が立った。


「野上くん」


「何、有沢さん」


叫ぶように野上くんの名前をいったので、びっくりしたのか、野上くんは目を丸くしている。


「野上くんがわたしと結城部長のこと、バラしたの?」


「バラすもなにも、セクハラでしょ、あれは完全に。報告しなくちゃ」


「誰に報告したの? うちの部の責任者は結城部長でしょ」


「その部長がセクハラなんて報告したらもみ消されるよ。だから総務を通じて人事にも話をした」


野上くんは得意満面な顔をしている。

総務と人事に話をしたって。

これじゃあますます、シンちゃんの部長という身が危ぶまれるじゃない。


「野上くん、総務と人事って。わたしの身勝手な行動なのに、総務になんか話をしたわけ?」


「元いた場所だし、お世話になった先輩たちを頼って悪い? 有沢さんだって同じことしてるでしょ」


「だからって。そんな噂を立てるみたいにすることないじゃない。ねえ、どうしちゃったの?」


「どうしたって?」


「野上くんらしくないって。前からずっと気になってたことだけど」


「僕はいたって普通だけど」


野上くんは冷淡な笑みを浮かべていた。