計画的俺様上司の機密事項

「ただ片付けの話をしていただけだよ。別に空き倉庫に行けだなんて一言もいってない」


野上くんはそう突っぱねた。

確かに野上くんは空き倉庫の片付けについて話していただけだ。わたしの早とちりってことか。


「確かに有沢がいないときに内線で話をしたけれど」


「わたしが勝手に聞き間違えただけだったんだ……」


「とんだモノを見せびらかされて驚きました。帰ります。失礼いたしました」


野上くんはわたしたちを睨みつけると、駆け足で去っていってしまった。


「ったく、なんだよ、あいつ」


「……野上くん」


「夏穂、このままいたら風邪をひく。帰ろう」


「うん……」


シンちゃんに連れ添われるように帰宅した。そのままダイニングへ行き、テーブルの前に座った。


「すぐに夕飯用意する。その前に体冷えてるから、ちょっと待ってろ」


といって、キッチンに立つと、小さなカップにココアをいれてくれた。

ほどよい温度と甘さが口に広がり、冷え切った体があたたかくなっていく。


「ありがとう。あったかくておいしい」


「それならいいんだけど。夏穂、気分は?」


「ココアもらったらだいぶ落ち着いた」


「……ごめん。わたしが勝手に行動したから、シンちゃんに迷惑かけて」


すると、シンちゃんは大きな手でわたしの頭を軽く撫でた。


「いいんだよ。夏穂にもしものことがあったらと思ったらいてもたってもいられなくってな」


そういえば、おわんの山の出来事の次の日、風邪をひいてシンちゃんが見舞いにきてくれたとき、寝ているわたしにそっと頭を撫でてくれたっけ。