計画的俺様上司の機密事項

11月も終わりにさしかかった金曜日。

例にもよって、渡瀬先輩に呼び出しをくらい、自分の席に戻ると、すでにシンちゃんは定時で帰っていた。

書きかけの記事を製作しようとしていたところ、野上くんが声をかけてきた。


「そういえば、さっき結城部長から隣の空き倉庫、片付けておかないとっていう話聞いたんだけど」


「え、そうなの?」


「ものすっごく、張り切ってたみたいだけど」


「わ、わかった。ちょっといってくる」


野上くんはめずらしくにこやかに笑って手を振ってくれた。

隣の空き倉庫に入る。そういえばここの階に越してから一度もこの中みてなかったな。

使われなくなった机や椅子、今まで発行してきた情報誌を詰めた段ボールが山のように積み重なっている。何かに使うんだろうか。

片付けるためには、雑巾とか必要だよね。

閉めた扉をあけようとした。

さっきまで普通に開けていたのに、開かない。

何度もドアノブに手をかけ開けようとしても開かない。

どうしよう。


「野上くん、いる? ドアが開かないの、開けて」


大声で叫んでみたけれど、全然聞こえない。

部屋の明かりを探る。入り口にスイッチがあったのでつけてみるけれど、まったくつかない。

天井をみたら、すべての蛍光灯が抜いてあった。

暗い部屋に一人。どこからともなく冷たい風が足元に流れてくる。

ぞくぞくと背中に寒気を感じた。