計画的俺様上司の機密事項

「土曜日いったところをまとめたんですが、この記事、下の階のメディアインターネット部へ原稿をまわしました」


わたしもシンちゃんも野上くんの言葉に体が硬直してしまった。


「は? オレの許可は?」


「情報誌とネット版の情報誌に載せる条件で取材に応じてくれましたし。先に出したほうが理にかなうし、新規のサーキュレーションメディアにも箔がつくと思って」


シンちゃんは、はあ、とため息をもらし、机に肘をついて頬杖をついた。


「……野上、あのなあ、先にそういうのは申請してもらわないと。オレは下の部署も兼任してるんだけど」


「責任者に渡したらこの原稿を載せたいって意気込んでましたけど」


シンちゃんの呆れ顔にもめげずに野上くんはストレートに言葉をかわす。

野上くんは悪びれたそぶりもみせずに堂々としていて逆に清々しく思えた。

その姿にシンちゃんも納得せざるをえなかったみたいで、軽くうんうんと首を縦に振る。


「……わかった。もうやってしまったならしかたないな。今度からオレの了承なしに行動するな、いいな?」


「わかりました」


野上くんは一礼すると、さっさと自分の席に座って資料の情報誌を開いてメモを取り始めていた。

シンちゃんは黙って広げていた資料をまとめて机の上に置くと、


「ちょっとでてくる」


といって、シンちゃんは部屋を飛び出した。

確認を取りに行くのだろうか。

土曜日にいっていたことを本当に仕掛けてくるとは思ってもみなかった。

野上くんが上司を無視して行動に出るなんて。