計画的俺様上司の機密事項

「黙ってキスさせろ」


ようやく唇が離れ、シンちゃんの顔をみる。

いつもより穏やかではなく、イラつきながらわたしを見下ろしている。


「野上とのデートの延長だと思ってキスしてみろよ」


「嫌。だって、デートじゃないから」


「デートじゃなくても二人で出かけただろう。オレが選んだ服着て、嬉しそうに」


「そ、そうじゃなくて」


反論しようとした。

それなのにシンちゃんはわたしのことはおかまいなしにまた唇を近づける。


「ん……んんっ」


口を開いたすきに、ずるりと口に舌が差し入れられた。

大きくて柔らかな舌がわたしの舌に絡ませようとしている。

こんなキス、したことないから、よくわからないけれど、頭がぼおっとしてきた。

ただ黙ってキスを受け入れてしまう自分も悪いけれど、怒りにまかせたキスは好きじゃない。

容赦ないキスが永遠と続くものだと思っていた。

ようやく唇が離れたら、わたしもシンちゃんも息苦しかったのか、互いに荒く息をした。


「……いじわるしないで」


「教育しがいがあるな」


教育って、やっぱり変な方向へと導くためだったの?

身勝手な言いがかりをつけて。


「目がとろんとしてる。気持ちいい顔しやがって」


嘘……。そんな顔してない。

無理やりキスしたことに対して、軽蔑するつもりで睨んだはずなのに。

いいようにとるなんて。


「これぐらいにしておくか。これ以上するとおかしくなるからやめとくわ」


「し、シンちゃん……」


「買ってきてくれた夕飯と余り物でなにか作ってくるから」


といって、頭をくしゃくしゃと軽く撫でてでていってしまった。

唇がしびれた。体の中心部分の芯が熱く感じている。

あんなに激しいキスは初めてだったのに、拒めなかった。

こんな気持ちになるなんて。