計画的俺様上司の機密事項

野上くんはさっさとご飯を食べ終えると、ちょっと席外すね、と店の奥へといってしまった。

一人でぽつんと置いてきぼり状態で飾り付けに凝ったナスやピーマン、トマトやブロッコリーがソテーを食べる。

どれもおいしいんだけれど、次第に口に運ぶたび、味気なく感じた。

シンちゃんだったらきっと、オレならこれぐらいすぐにできる、これ以上おいしく作れそうだけど、なんて胸を張っていってそうだな。

食べ終わった頃に野上くんは満足いった顔を浮かべながら戻ってきた。

持ってきた黒のトートバッグからメモ帳とボールペンを取ると、サラサラと何かを書いて、すぐにバッグにしまった。

わたしが黙ってその姿をみていたのを気づいたのか、ニコリと笑って、


「おいしかったね」


と、野上くんは一方的に話してきた。


「そうだね……」


としか返す言葉がなかった。


「ごはん終わるまで待とうと思ってたんだけど、時間がもったいなかったから、先にお店の人に交渉して話を聞いてたんだ。有沢さん、ごはん食べてるところ邪魔しちゃいけないと思ってさ。これを記事に起こして、サーキュレーションメディアと情報誌とコラボで情報を載せるっていったら喜ばれたよ」


そう野上くんがほっとした顔つきでわたしに報告してきた。

ウチの新事業のものと、既存の情報誌のコラボなんて、まず情報誌のほうが先で、そこから派生したウェブ版、それから新事業のものへと流れていくものだったと記憶していたんだが。


「そういうのは、結城部長に許可とらないと」


野上くんは珍しく、口を尖らせてテーブルに肘をついて頬杖をついている。


「もう取材しちゃったし。事後報告でなんとかなるんじゃないかな。だって有沢さん、3階の仕事してるでしょ。借りがあるんだから文句は言えないだろうし」


「……だからって」


「大丈夫。ちゃんと企画書にまとめておくから。さて、このあとお茶しに行こうか」


「……うん」


お会計済ましておくよ、僕がおごるから安心して、とさっさと野上くんは席を立って、入り口前のレジへと行ってしまった。