計画的俺様上司の機密事項

「相変わらず、いい趣味してんな」


シンちゃんが部屋の中へとずかずか入ってきた。

ベッドと机の間に棚があり、そこにはコレクションが豊富に取り揃えてある。

なのに、シンちゃんはあまり興味がないのか、ささっとみたぐらいでゆっくりこちらへと近づいてきた。


「へえ。ミニチュア、鉄道模型、フィギュアかあ。棚にしまってあって。昔と変わらねえな」


「……ちょ、ちょっとシンちゃん! 勝手に部屋に入らないでよ」


「さっきからドア叩いたり呼んだりしたんだけど、全然応答がなかったから入ってみたんだけどな。あんまり可愛い顔してるから少し見てた」


可愛いだなんて、シンちゃんからそんな言葉が聞けて嬉しいはずなんだけど。

でもやっぱり許せなかった。

ベッドから降りようとしたとき、シンちゃんがベッドの上に上がってきた。


「なんだ、その悩ましげな顔は。誘惑でもしてるのか」


「何いってるんですか! 人のうちに勝手に入ってきて、しかもわたしの部屋にも勝手に」


「今、何いってるか、わかってる?」


「え」


「この状態ってどういう状況でしょうか?」


気がつけばシンちゃんがわたしの体の上に覆いかぶさっている。


「な、何やってるんですか。どいてください」


「どうしたらどいてくれるでしょうか」


シンちゃんの顔が近い。

ふさふさのまつげが揺れている。


近ければ近いほど、美しい男性だな、と思った。


「ちょ、そんなこと言われても」


「早く言いなよ。夏穂」


シンちゃんから名前で呼ばれるなんて。

胸がキュンと苦しくなる。

だけど、今この状況でときめいている場合じゃなくて、非常事態なのだ。