計画的俺様上司の機密事項

シンちゃんは朝も変わらぬそぶりで起こしにきてくれて、朝ごはんを一緒に食べてお弁当を残して先に出ていってしまった。

模型やフィギュアを眺めていたのはいいけれど、結局しっかり眠れていなかった。

作りかけの模型を作ってしまったのがいけなかったんだけど。

くしで髪の毛を整えてみると、毛先がまとまっていて、ヘアスタイルがきれいに決まった。

心なしか髪の毛にツヤが出ている気がした。

シンちゃんがわたしを作り変えている、そんな感じなのかな。

シンちゃんに買ってもらった通勤用の服を着て、会社へ向かった。


「有沢さん、おはよう」


「野上くん、おはよう」


通用口から会社へ入ろうとしていたところに野上くんが息を切らしながらこちらへやってきた。

そういえば、最近、野上くんと朝、同じ時間にロビーでかち合うなあ。


「いい香りがする」


「え? 香水つけてないんだけど」


「ううん、そうじゃないんだ」


タイムカードを互いに押すと、野上くんはわたしに顔を背けて、わたしより少し早めに足を進めていった。

シンちゃんはすでに自分の席に座って原稿のチェックをしている。

シンちゃんと挨拶をかわし、仕事の準備を見守ると原稿や書類の束をもって部屋をでていってしまった。


「慌てて出て行ったね。何かやらかしたのかな」


野上くんが少し声を高らかに話しかけてきた。

野上くんらしくないブラックなジョークにわたしは驚きを隠せなかった。


「やらかしてないんじゃないかな。急な仕事のことで飛び出したんじゃないかな」


その場を取り繕うように話したつもりだった。

それなのに、野上くんは、ふん、と鼻で笑う。


「まあ勝手な想像にしか過ぎないしね。有沢さんがそんなにかばう必要なんてないのに」


野上くんには似合わない不敵な笑みを浮かべていた。