計画的俺様上司の機密事項

自分の部屋に戻り、着替えのせずにベッドに横たわる。

かすかな想い出を白い天井に映し出す。

昔、隣のマンションに6歳年上の男の子がいた。

仲間からはシンちゃんと呼ばれていて、よく遊んでいた。

まっすぐな瞳に、ふさふさのまつげ。

すっとした鼻に顔に見合うちょうどいい厚さのくちびる。

他の誰もがうらやむ、かっこいい男子のひとりだった。

うちの親もシンちゃんの家族と仲良しで親戚みたいな付き合いをしていた。

気がつけばいつも隣にシンちゃんはいてくれて遊んでくれた。

それなのに、わたしが小学校に上がる前に突然いなくなり、両親に話をしてもどうしていなくなったのか教えてはくれなかった。

確かその時は黛真一だった気がした。

昔の面影を残していたけれど、シンちゃんはあんな人だったんだろうか。

それでもわたしのことを覚えてくれていたなんて。

嬉しい。けれど、悔しい。

今さらどうしてわたしの前に現れたんだろう。

シンちゃんのこと、好きでたまらなかったのに、それなのに、何も言わずに消えていくなんて。

シンちゃんに対しての想いなんて、忘れていたはずなのに。


「痛っ」

昔のことを考えていたら、頭が痛くなった。

いつからだろう。

忘れていたことを思い出そうとしていつも、頭が痛くなる。

まあいいや、と体を起こそうとしたときだった。