計画的俺様上司の機密事項

3階のドアを開けると、ドアに視線を向けていた渡瀬先輩が両手を振って呼んでいた。


「有沢、ごめんね。このデータがおかしくなっちゃって」


「いいですよ。この集計のデータですよね」


といって、もくもくと作業を進める。

渡瀬先輩はその横で来月号の記事の校正をかけていた。

そこにもクリスマスの記事が載っている。


「クリスマスですか。今、クリスマスのことで悩んでいて」


「クリスマスかあ。まだ先の話なのにな。有沢、悩んでるのか?」


渡瀬先輩は校正の手をとめて、珍しく眉をひそめてこちらを見ている。


「記事作りなんですけど、クリスマスってどうやって過ごすものなのかな、って」


「私は素敵な人と過ごせたらいいな、と思ってるけどね」


わたしと渡瀬先輩に割り込むように、真鍋先輩がやってきた。


「真鍋はそう夢見て、結局あたしと出かけてるじゃん」


と渡瀬先輩がそういって笑うと、つられて真鍋先輩はうふふと笑っている。


「で、有沢はどうしようと思ってるの?」


「何も予定ないですけど」


渡瀬先輩と真鍋先輩は顔を見合わせ、黙っている。


「本当に何もないんですってば」


さらに付け加えるように話すと、


「え? そうなの? 有沢なら、同期の野上くんと食事とかいきそうな雰囲気なのに」


渡瀬先輩が堰を切ったようにこたえてきた。


「どうしてですか! そんなことするわけないじゃないですかっ」


「そうかな。結構、野上くん、有沢さんのこと気に入ってるんじゃないのかな」


真鍋先輩も負けじと上品に言葉をかえしてくる。


「だから、そういうことじゃないですって」


データの集計が無事に済んだので退席しようとした。


「お似合いのカップルになりそうな感じなんだけど。先輩たちは応援しているぞ」


と二人の先輩は勝手に盛り上がっているところを退散した。