計画的俺様上司の機密事項

今日のウェブコンテンツ部の雰囲気は最悪だ。

シンちゃんは仕事の合間、気がつけばわたしを睨みつけているし、野上くんはそんなことはつゆ知らず、スマートに仕事をこなしている。

わたしと言えば、二人の対照的な状況に気を取られてしまい、肝心の来月のクリスマス特集についての記事が一向に仕上がらない。

クリスマスかあ。クリスマスなんて、あんまりいい思い出なかったからなあ。

子供の頃は母が仕事をしていたこともあって、一人でクリスマスっていうこともあった。

どこからかわたしのことを聞きつけたシンちゃんがわざわざケーキを持ってきてくれたこともあったっけ。

不恰好だったけど、手作りのいちごショートケーキだった。

シンちゃんが引っ越ししてから、また一人になったけど、中学高校大学と友達と過ごしたくらいで恋人との特別な時間とやらをテレビや雑誌でみたけれど、そんなものには興味がなかった。

せいぜい自分のプレゼントとして例にもよってプラモやフィギュアを買って一人で喜んでいた時間のほうが長かった。

先月で自分の経験に沿って書いた記事がボツになったから、今月も記事を作成するのが難しい。

書籍の棚に向かい、バックナンバーの情報誌を手当たりしだい取り寄せ、机の上に並べる。

やっぱりクリスマスといえば、二人で過ごすもの、みたいな感じのものが多くてこういう普通の女子ではない人から見ればため息をつく内容だった。

悩んでいるのを見計らってか、内線がかかる。上条さんの件があったので、丁寧に電話に出た。


「4階、有沢です」


「渡瀬だけど、有沢、お願いできるかな」


「わかりました。今いきます」


この重苦しい空気から解放されるだけまだましかな、と思いながら、下へと降りた。