計画的俺様上司の機密事項

「夏穂、会いたかったよ」


顔は目の下にはクマがあり、とても精気のあるような顔をしておらず、髪の毛は白髪が混じってパサパサな状態で、よれよれのスーツを着た園田部長だった。

親睦会のとき、家に送ってあげるといってわたしの家まで送ってくれた。

それからことあるごとにわたしを送ってくれていたから、自宅を知っているけれど、わたしから頼んできてもらったわけじゃないのに。


「わたしは会いたくはありません。それに何でわたしの家にくる必要があるんですか」


「そんなこと、言わないでくれよ」


「で、用事はなんですか」


「流通部門にいったら夏穂に会えなくなるからさあ、最後に会おうと思って」


「園田部長とわたしは関係ないですよね。それに他の部署の女の子にも同じこといったって聞きましたが」


「噂にすぎないよ、夏穂。ね、これから寂しくなるんだ。相手してくれたらいいだろう」


「ふざけないでくださいよ」


廊下でこんなことしていたら迷惑だ。

無視して家に入ろうとしたところ、腕をつかまれた。


「自分ばっかり出世しやがって。どういう差し金でなりあがろうとした」


「や、やめてください」


園田部長の手を振りほどこうとしても、力が強くてほどけない。

荒い息をしながら園田部長はわたしに顔を近づけようとする。

がちゃり、とわたしの家のドアが開いた。

中からTシャツにジーンズといったラフな格好ではあるが、おい、と一言、聞き覚えのある声がした。