計画的俺様上司の機密事項

まだまだわたしの秘密は知られていないから安心している。

少しだけ残業をして、自宅に戻る前に大切な場所へと向かう。

近所に古くからある模型屋さんだ。

洋服やお菓子、化粧品に雑貨は普通に好きだけど、鉄道模型やプラモデル、ミニチュア、ジオラマ、フィギュア、ラジコンといったものを同級生の女子よりは多く好んで生きて来た。

一度、近所の子に模型の素晴らしさについて説いたところドン引きされ、それからは誰にも言わないでコツコツと己の趣味道を貫いている。

たくさんの模型の箱を眺め、うっとりする。

この時間がたまらなく、仕事を頑張ってこれてよかったとしみじみこの空間に浸る。


「いつもありがとうございます」


店の奥から白髪混じりの小さな声でしゃべるおじさん店長が話しかけてきた。

小さい頃からなので、顔なじみになってしまった。


「今日、いいもの入ったんだけど」


そういってガラス張りの棚から出して見せてもらう。

ピカピカな特別車両が店長さんに抱かれている。

喉から手が出るぐらい欲しい。

でも、給料日前だし、キットは買うのはやめよう、と諦めてしかたなく帰ることにした。

駅と会社を挟んだ場所にある6階だての自宅マンションに戻る。

最上階の角部屋がわたしのうちで、エレベーターを降り、奥にある部屋へ向かう。

母は仕事と母の実家の関係で別の県に住むことになり、今現在はわたし一人が住んでいる。

鍵を取り出そうとカバンの中をみた。

スマホも一緒に取り出すと、母からメールが届いてる。

開こうとしたとき、後ろから聞きなれた声がした。