胸がどきっと脈打った。
確かに、見られるのは恥ずかしいと。見られると緊張するってこういうことなんだと、急に落ち着かなくなって慌てて否定する。
『そ、そうですか? そんなことないですよ』
『うん、大きなミスはないし、解ってきたってことだろ?』
『はい、解ってはきましたけど…、まだまだ解らないことだらけです』
ぱっと、前を向いた彼はゆっくりアクセルから足を離す。信号が青になって目と目が離れたが、私はその横顔を見つめたまま。
『それは俺も同じ。解らないことだらけだって、きっと何年経とうが解らないことは付きまとう。一つ解決してまた一つ増えて、そんなことも解らないのかって怒られたりしてさ。』
左手で髪をくしゃりと触り『だから、見過ぎだって』と、笑った。また私は慌てて同じように前を向いた。
私たちを乗せた車は、国道5号線を真っ直ぐ走り続けている。何処へ向かっているのかは聞かなかった。聞いても教えてくれないだろう。予定になかったドライブだからって、流れに任せているわけではなさそうだった。
どこだって、きっと彼となら楽しいだろう。きっと意味のある場所なんだろうって思えばわくわくもする。
小樽市に入り、小樽の街を抜けた海沿いを走り続ける。水族館の看板が見えてきて、てっきり水族館だと思っていたらそのまま素通りし、行き止まりの僅かに広いアスファルトのスペースに車が停車する。
そこにあるのは高台だけで、他に建物らしき物は何もなかった。
不思議そうにする私を見て笑いながら『上』と、言うだけで、見上げてみても車の中からでは特別何も見えなかった。
『上?』
『少し歩くけど』
彼は車から降りたので慌てて私も後に続く。なだらかな坂道を上っていく。この先に何があるのか、途中から徐々に姿が確認できた。



