出されたお皿をじーっと見つめて、私は思わず頬を膨らませた。
『…主任、やっぱりナポリタンじゃないですか』
『どこが、よく見ろよ』
と、手にしたフォークが示すのはナポリタンの隣。
『はい、申し訳なさそうにオムライスがいますけど…』
『卵が1個しかなかったの、他の材料はないし。黙って食いなさい』
『…頂きます』
お皿にはたっぷりのナポリタンと、ちょこんとくっついてきたオムライス。
『うん、美味い』
手前味噌を並べる彼を横目に、一口食べた。
彼の作るナポリタンは本当に美味しくて、食べ慣れているのと作り慣れているのが伝わってくる。
聞けば、材料は一食分ずつ小分けに冷凍してあるって、やっていることはまるで主婦だった。
『美味しい…』
『だろ?』
『…主任、すみませんでした』
『何が?』
謝る私に、真顔になった彼の手が止まる。
『ちょっとだけ、馬鹿にしてました。でも、これなら毎週食べたいです』
そう笑いかけると、『謝るから何事かと思ったら』そう呟いていきなり大笑いされた。
『あははっ、毎週って何だよ。毎日ならわかるけど。今も馬鹿にされてる気がするぞ』
『毎日はいいです』
『そいつは残念、作りがいがないな』
肩を竦めてしょんぼりした目を見せた後、目元を緩めて笑った彼。
『オムライスが美味しいです』
『オムライスも、だろ?』
笑いながらご飯を食べたことも、お店以外で人が作ってくれた料理を食べること、誰かと一緒に食べるとこんなに楽しいんだって感じたのは久しぶりだった。話しながらゆったりとした時間が流れていった。



