優しい胸に抱かれて


『…はい、痛いです』

『痛い? 腫れ過ぎて?』

『はい。腫れ過ぎてるのであまり見ないでください』

目が引っ付きそうなくらい瞼が開かないのは、ものすごく腫れている証拠だった。

『あはは』

『何で、笑うんですか…。主任も泣き過ぎたらわかります』

『あはは、泣き過ぎたらわかるって何だよ。あははっ。うん、朝からこんなに笑ったのは初めてだ』

『私も初めてです』

『何が?』

『朝から笑われたことです』

『あははっ、柏木が笑わしてるんだろ?』

『笑わしてるつもりはないのに…』

彼が笑う度、腕枕をされている私の頭が一緒に揺れ動く。

腕の代わりに枕をあてがわれと頭が柔らかい感触に包まれた。天井を向いたままだった彼が起き上がる。

『ははっ、ダメだ、二度寝どころじゃない』

ベッドからいなくなって、隣にぽっかりと空いた一人分のスペース。手を伸ばしてみるとそれまであった温もりが残っていた。


『ああ、なんで…。主任みたいな人と出会わなかったんだろう』

目を瞑り、心の中でひっそりと呟いた。