朝日が入り込む作業場、蛍光灯以外の光が拡散し、いつもより明るく感じる。
「おはようございます。今日一日、天気いいみたいですね?」
「おはようさん」
目が合って挨拶を返す島野さんは、今日も眼鏡に乗っかった前髪を揺らしていた。
隣の席の佐々木さんは、作業服を用意し現場へ行く気満々だ。
「おう。柏木、もういいのか?」
「はい、もうすっかり…」
「柏木、また工藤に振られたら俺んとこ来い」
と、佐々木さんは私の肩に腕を回し、頭をがしがしを乱暴に撫でた。
「え…。次、振られたら立ち直れないです。それに、佐々木さん、その気ないくせに…。だから、彼女さん出て行っちゃうんですよ」
「うるせえ! こら、童顔っ。お前がいちいち絡むと色々面倒でややこしくなるから黙ってろ。馬鹿なんだから、何も考えないで黙って工藤の側にいろ。わかったのか?」
「…はい」
うるさいと言われるほど、うるさくもしていないのだけど、戒めとしてなのか強めに耳を引っ張るだけに飽き足らず首まで絞められれば、大人しくした方が無難なようだ。
「またじゃれ合ってるんですか?」
「平はおやつでも食っとけ」
「平っち、おはよう。助けて」
「んー。何だか面白そうだからそのままで。だって、後ろ…」
ポッキーを食べながら出社した平っちは、手にしたポッキーで背後を指した。
何とか動いた首を回すと追い付いた紘平が、見た目ではじゃれ合っているらしい私たちを見下ろしていた。



