優しい胸に抱かれて

 今日が土曜日で時間はお昼を過ぎていることを聞いて、唖然とした。どうやら、私は丸2日熱と戦っていたらしく 夢の中に入り込んだ以外、まるで覚えていなかった。

 その夢も、どこまでが夢なのかよくわかっていないのに。


 そっと手を伸ばし、紘平の顔に触れる。本人は不思議そうに私の髪をくしゃくしゃ撫でていた。


「私の風邪、移ってない?」

「俺は大丈夫」

「…背中が痛い」

「多分、背中じゃなく肩だ」

「シャワー、浴びたい」

「今日はまだダメ」

「オムライスは?」

「まだ、味わかんないだろ? 我慢ついでに、もう少し付き合ってよ。俺も紗希が作ったナポリタン食べたいし。今日も2人でお粥って決まってんの」

「夢じゃない?」

「夢じゃないよ」


 私の馬鹿になった涙腺は緩みっぱなしで、体調が良くなるまで事あるごとに涙を流した。目を覚まして隣に紘平がいるだけで泣いて、いなかったらまた泣いて。

 それこそ、次の日シャワーを浴びただけでもなぜか泣いた。

 夜、並んでナポリタンを作っている間も、オムライスを一口食べただけでも泣いた。美味しいと言われてまた泣いて。


 溜まった涙は相当しつこかった。