旭川の件も同様のやり口で、発注ミスを隠蔽。私たちがこうして調べ上げてしまったから明るみになった。ただ、いずれはばれてしまう。
原則として提出書類は原本でなければ認められない。写しは却下され未処理とされる。これは当然承知の上で、特に外への発注が多い私たちは、いつもいつも提出が遅くて経理課からしょっちゅう怒られているからだ。
その場凌ぎで提出した写しの改竄は容易だった。では、原本の改竄はどうしたらいいのか。原本がなければ、システムも書き変えられない。これの説明だけは書かれていなかった。
ぼんやりとした視界。目の前が陰り顔を上げると、佐々木さんが膝をついてこちらを覗き込んでいた。
「顔色悪いな、応接間のソファーで寝てろ」
「…え、佐々木さんっ! 今まで、ど、どこに、いたんですか…」
「こら、童顔っ。寝てろって言ってるんだよ、聞いてるのか? お前、熱あるだろ…」
軽めに引っ張った耳から手を離し、私のおでこに手を当てた佐々木さんは、頭を引き寄せ耳の側で「ごめんな、柏木」と、沈んだ声で謝った。
体が離れていき、再び見上げるともう目の前にはいなく、少し離れたところの壁に背を付いて腕組みをしていた。
「佐々木さん…?」
急に心細く不安になり声をかけたが、佐々木さんの視線はこちらに向けられることなく、どうして、謝られたのかわからないが、悲しい気分に襲われた。
「…なるほどね、処理ステータスを記録しているのか。よく調べられたね」
「よっぽど、嫌われ者なんだなお前。じゃなきゃ、いくら総務部でもクソ忙しい時期にわざわざログなんて調べてくれないだろ? 小細工するほどお前と違って暇じゃないんだよ、総務部も俺らも」
「だけど、これが俺がやったって証拠にはならないよね? 俺のパソコンを使った誰か第三者かもしれないしね」
「いいや、お前だ。原本の提出を求められて、考えたお前は柏木に近づいた。落として言うことを聞いてもらおうとでもしたのか? 残念だが、こいつは人よりちょっとどころか、かなり鈍いんだ」
こいつ。と、立てた親指は後ろを向けられた。見事に指先が背もたれに寄り掛かった私を指している。
原則として提出書類は原本でなければ認められない。写しは却下され未処理とされる。これは当然承知の上で、特に外への発注が多い私たちは、いつもいつも提出が遅くて経理課からしょっちゅう怒られているからだ。
その場凌ぎで提出した写しの改竄は容易だった。では、原本の改竄はどうしたらいいのか。原本がなければ、システムも書き変えられない。これの説明だけは書かれていなかった。
ぼんやりとした視界。目の前が陰り顔を上げると、佐々木さんが膝をついてこちらを覗き込んでいた。
「顔色悪いな、応接間のソファーで寝てろ」
「…え、佐々木さんっ! 今まで、ど、どこに、いたんですか…」
「こら、童顔っ。寝てろって言ってるんだよ、聞いてるのか? お前、熱あるだろ…」
軽めに引っ張った耳から手を離し、私のおでこに手を当てた佐々木さんは、頭を引き寄せ耳の側で「ごめんな、柏木」と、沈んだ声で謝った。
体が離れていき、再び見上げるともう目の前にはいなく、少し離れたところの壁に背を付いて腕組みをしていた。
「佐々木さん…?」
急に心細く不安になり声をかけたが、佐々木さんの視線はこちらに向けられることなく、どうして、謝られたのかわからないが、悲しい気分に襲われた。
「…なるほどね、処理ステータスを記録しているのか。よく調べられたね」
「よっぽど、嫌われ者なんだなお前。じゃなきゃ、いくら総務部でもクソ忙しい時期にわざわざログなんて調べてくれないだろ? 小細工するほどお前と違って暇じゃないんだよ、総務部も俺らも」
「だけど、これが俺がやったって証拠にはならないよね? 俺のパソコンを使った誰か第三者かもしれないしね」
「いいや、お前だ。原本の提出を求められて、考えたお前は柏木に近づいた。落として言うことを聞いてもらおうとでもしたのか? 残念だが、こいつは人よりちょっとどころか、かなり鈍いんだ」
こいつ。と、立てた親指は後ろを向けられた。見事に指先が背もたれに寄り掛かった私を指している。



