「誰も傷つけないで生きたければ、誰とも関わらなければいいのだろうが…」
「部長…。部長は今でも森田さんが部長にしたこと、不正とか色々…。部長は自分の責任だと思っていますか?」
「…当然だな。嫁は森田と一緒にいたままの方が良かったのかもしれない。島野も出向を先伸ばすこともなかったしな」
「…では、お互いさまですね。誰も悪くないです、私は、…そう思います。最低って言ったの取り下げます。それと、奥さんは…、部長を選んだの後悔してないですよ。仕事休んでまで家族サービスしてくれる旦那さんですから。島野さんだって家族が増えました」
「随分、言うようになったな」
鼻を鳴らし、口角を上げた。密度が濃い闇の中、普段は笑わない目元が崩れたように見えた。
何故か急に部長は、アームレストから赤ちゃんのおもちゃを取り出した。ビニールの包みのまま揺らし、鈴の音を鳴らす。
「どうしてだろうな、俺のところに産まれてきたのは…」
「…部長に会いたかったんですね。それか、部長に女心でも教えたかったんですかね?」
「女心か…。ガキが、偉そうに」
「女の子にそれはやめてください」
家でたくさん笑ってて欲しかったんですよ。とは、散々辛気臭い顔するなと睨まれてきた私は、言えなかった。
「仕事と恋愛はよく似ているな。上手くいかない時は何をやってもいい方には転ばない。肩の力を抜いて客観的になると見えてくるものがあったり。真剣に考えて、悩んで、答えを探し、助け合う。向き合う点では似ていると思わないか?」
「そうかもしれません…」
曖昧な返事をしたのは、向き合うことをしなかったからか、向き合うのが怖いからかはわからなかった。
「部長…。部長は今でも森田さんが部長にしたこと、不正とか色々…。部長は自分の責任だと思っていますか?」
「…当然だな。嫁は森田と一緒にいたままの方が良かったのかもしれない。島野も出向を先伸ばすこともなかったしな」
「…では、お互いさまですね。誰も悪くないです、私は、…そう思います。最低って言ったの取り下げます。それと、奥さんは…、部長を選んだの後悔してないですよ。仕事休んでまで家族サービスしてくれる旦那さんですから。島野さんだって家族が増えました」
「随分、言うようになったな」
鼻を鳴らし、口角を上げた。密度が濃い闇の中、普段は笑わない目元が崩れたように見えた。
何故か急に部長は、アームレストから赤ちゃんのおもちゃを取り出した。ビニールの包みのまま揺らし、鈴の音を鳴らす。
「どうしてだろうな、俺のところに産まれてきたのは…」
「…部長に会いたかったんですね。それか、部長に女心でも教えたかったんですかね?」
「女心か…。ガキが、偉そうに」
「女の子にそれはやめてください」
家でたくさん笑ってて欲しかったんですよ。とは、散々辛気臭い顔するなと睨まれてきた私は、言えなかった。
「仕事と恋愛はよく似ているな。上手くいかない時は何をやってもいい方には転ばない。肩の力を抜いて客観的になると見えてくるものがあったり。真剣に考えて、悩んで、答えを探し、助け合う。向き合う点では似ていると思わないか?」
「そうかもしれません…」
曖昧な返事をしたのは、向き合うことをしなかったからか、向き合うのが怖いからかはわからなかった。



