身を捻じりながらジャケットの中を弄り、引っ張り出された幾つかのファイルを私へ押し付けた。
「面倒くさがらず傘くらい差せ」
「車移動じゃ傘は差さねぇよ」
面倒くさそうに島野さんへそう答え、挨拶回りで配る自社タオルの袋を豪快に開け、わしわしと髪の毛を拭う。頭に糸くずをつけながら「やっすいから、ちっとも吸わねぇな」と、名入れ込みで一枚160円のタオルにケチをつけた。
安さもあるのだろうけど、水通し前の新品だからなのに。それでも日下さんは安いからだと言い張るだろう。
疑うような目でタオルをまじまじと見入る日下さんを横目に、ファイルを書棚に片付た。
システムのログを見たがった日下さんに、よっしーから受けた説明をそっくりそのまま話す。
「だから、たかが発注ミスだって言ったじゃねぇかよ。くだらねぇ小細工しやがって」
「…そういう意味合いだったんですか? ややこしいです」
「はぁ? お前の頭ん中の方がややこしいじゃねぇか、単細胞なのに。スライディングウォールもこれ絡みじゃねぇのかよ」
誤解を生むような言い方をした日下さんの方がややこしい。実際、佐々木さんが誤解してしまったのだ。言葉とはなんとも難しい生き物なのだろうと、眉を寄せた。
島野さんには作業場へ戻った際、真っ先に質問したこと。日下さんには電話で聞いた。2人ともが少し考えたあと同じ結論を出したのだが、再確認したくて口を開ける。
「…本当に島野さんの知らない人なんですか?」
「さあな、聞いたことも見たこともない」
「俺も」
「10年になる島野さんでもわからないんですね」
親しくなくても、少なからず島野さんの知った人なのではないかと思っていた。
「面倒くさがらず傘くらい差せ」
「車移動じゃ傘は差さねぇよ」
面倒くさそうに島野さんへそう答え、挨拶回りで配る自社タオルの袋を豪快に開け、わしわしと髪の毛を拭う。頭に糸くずをつけながら「やっすいから、ちっとも吸わねぇな」と、名入れ込みで一枚160円のタオルにケチをつけた。
安さもあるのだろうけど、水通し前の新品だからなのに。それでも日下さんは安いからだと言い張るだろう。
疑うような目でタオルをまじまじと見入る日下さんを横目に、ファイルを書棚に片付た。
システムのログを見たがった日下さんに、よっしーから受けた説明をそっくりそのまま話す。
「だから、たかが発注ミスだって言ったじゃねぇかよ。くだらねぇ小細工しやがって」
「…そういう意味合いだったんですか? ややこしいです」
「はぁ? お前の頭ん中の方がややこしいじゃねぇか、単細胞なのに。スライディングウォールもこれ絡みじゃねぇのかよ」
誤解を生むような言い方をした日下さんの方がややこしい。実際、佐々木さんが誤解してしまったのだ。言葉とはなんとも難しい生き物なのだろうと、眉を寄せた。
島野さんには作業場へ戻った際、真っ先に質問したこと。日下さんには電話で聞いた。2人ともが少し考えたあと同じ結論を出したのだが、再確認したくて口を開ける。
「…本当に島野さんの知らない人なんですか?」
「さあな、聞いたことも見たこともない」
「俺も」
「10年になる島野さんでもわからないんですね」
親しくなくても、少なからず島野さんの知った人なのではないかと思っていた。



