これは望んだ結果じゃない、私ももっと早く捨てちゃえば良かった。こんな想い、さっさと捨てちゃいたい。引き出しに埋もれた書類ごと全部捨ててしまえばいい。
赴くままに廃棄しようとすると、どういうわけかまだ好きだから胸が苦しくなる。だけど、現実を受け止めざるを得なくて、捨てる手前。もう関係ないのに、悪事がバレた時のように責められているみたいだ。
ふわっと香る彼の匂い。左手の人差し指が私の眉間に触れる。押し付けられた指と共に香水でもトワレでもない、鼻腔を集中させなければ他の人は気づかないくらいの、気に障るほどの強くはない匂い。
「紗希の困った顔、好きだよ」
私を困らすのが本当に得意なんだ。ああ、違う。とことん困らせて、困った顔させてやればいいって魂胆なんだ。最初から術中に嵌まっていたんだ。おそらく部長は協力者で仕掛け人だ。困らせるだけ困らせて、そんなに楽しいの。と、不審そうに見上げる。
今日は3月最後の日、明日から新年度4月だ。でも、まだまだ寒くてコートは手放せない。狭い店内には暖房が行き届いているが、一番奥の端っこの席はひんやりとしている。
それなのに、喉がからからで口内が砂漠並みに乾いていた。左手に輝く指輪が眩しくて目を伏せる。閉じても真っ暗な空間に光る跡が染み着く。
早く会社へ戻りたい。すくっと平然を装って何でもなかった顔をして颯爽と立ち去りたい。遮る一言が頭の奥から投げられる、「足掻き足りないんじゃないのか?」挑発的な言葉が回想された。
別れようと切り出され返事もせず、自分の中で終わりにできていないから悶々とするんだ。きっちり上司命令に従い足掻いて、喚いて、最後に困らせて終わらせればいい。
まだ好きだから何もかも捨てたい。私なんか構わずその大事な人だけ見ていればいい。私たちは過去に何もなかった、それでいいから。だから放っておいて。それを言えば、困ってくれるかな。
人差し指が離れ解放された動きに自然とカップへ手が伸び、乾いた喉を気持ち程度潤し口を開く。
赴くままに廃棄しようとすると、どういうわけかまだ好きだから胸が苦しくなる。だけど、現実を受け止めざるを得なくて、捨てる手前。もう関係ないのに、悪事がバレた時のように責められているみたいだ。
ふわっと香る彼の匂い。左手の人差し指が私の眉間に触れる。押し付けられた指と共に香水でもトワレでもない、鼻腔を集中させなければ他の人は気づかないくらいの、気に障るほどの強くはない匂い。
「紗希の困った顔、好きだよ」
私を困らすのが本当に得意なんだ。ああ、違う。とことん困らせて、困った顔させてやればいいって魂胆なんだ。最初から術中に嵌まっていたんだ。おそらく部長は協力者で仕掛け人だ。困らせるだけ困らせて、そんなに楽しいの。と、不審そうに見上げる。
今日は3月最後の日、明日から新年度4月だ。でも、まだまだ寒くてコートは手放せない。狭い店内には暖房が行き届いているが、一番奥の端っこの席はひんやりとしている。
それなのに、喉がからからで口内が砂漠並みに乾いていた。左手に輝く指輪が眩しくて目を伏せる。閉じても真っ暗な空間に光る跡が染み着く。
早く会社へ戻りたい。すくっと平然を装って何でもなかった顔をして颯爽と立ち去りたい。遮る一言が頭の奥から投げられる、「足掻き足りないんじゃないのか?」挑発的な言葉が回想された。
別れようと切り出され返事もせず、自分の中で終わりにできていないから悶々とするんだ。きっちり上司命令に従い足掻いて、喚いて、最後に困らせて終わらせればいい。
まだ好きだから何もかも捨てたい。私なんか構わずその大事な人だけ見ていればいい。私たちは過去に何もなかった、それでいいから。だから放っておいて。それを言えば、困ってくれるかな。
人差し指が離れ解放された動きに自然とカップへ手が伸び、乾いた喉を気持ち程度潤し口を開く。



