途中で合流した平っちと話しながら長い廊下を進み、3階の一番奥のフロアを目指す。隣で不満をぼやく平っちの口は、ずっと動かしっぱなしだった。
「工藤さんって案外、面白味ないんだね?」
って聞かれても困る。
旭川に一泊し、施工班の手伝いをして帰ってきたらしく、私のせいで疲れたと言った。音楽もラジオもかけさせてくれなくて、助手席でたまに口開くくらいで、ずーっと黙って乗ってるから苦痛だったと漏らす。
その苦痛は数日前に味わっている。ちょっと平っちの苦痛とは違うだろうけど。
「北見と苫小牧の施工、本決まりしたんだぜ。宿泊代は経費で落としてくれるみたいで、みんなでご飯食べに行ったんだ。それも経費でいいって、あの部長がだよ?」
なにそれ、ずるい。私の時は泊まりたければ自腹だ。って言ってたのに。足元を見られていたのはわかるけど。施工のオーダー抜きにしても、どうも釈然としない。
「私の方が不満っ。贔屓じゃないの、それ」
「どした、急に?」
変な奴と言いたげな、首を傾げた平っちに気を取られたわけじゃない。知っている香りと共に、真横を通り過ぎた人影に足が止まる。
「おはよ。昨日はお疲れさん。…ん? 何、俺の悪口?」
怪訝そうに、平っちの不満そうな顔と私の気まずそうな顔を交互に見る。
「おはようございます。工藤さん、何でわかったんですか? 助手席で無言なのはどうなんだ、馬鹿なのかって言ってたんですよ」
「あはは、馬鹿ってなんだよ。普段、運転ばかりだろ? 助手席の人の気持ちを知りたかったんだ。実は退屈なんだな、助手席ってさ」
「俺の気持ちわかってくれました? 音楽必要でしょ?」
「例え会話がなくてつまらないと感じても、音楽やラジオで逃げたくはないな。面白くないのかもとかさ、隣にいる人のこと考えながら運転するのは楽しいだろ?」
「どこが? やっぱこの人、馬鹿なの? 俺の時は逃げてくれていいですよ」
「あはは。悪かったよ、これはお詫び。おやつ」
「工藤さんって案外、面白味ないんだね?」
って聞かれても困る。
旭川に一泊し、施工班の手伝いをして帰ってきたらしく、私のせいで疲れたと言った。音楽もラジオもかけさせてくれなくて、助手席でたまに口開くくらいで、ずーっと黙って乗ってるから苦痛だったと漏らす。
その苦痛は数日前に味わっている。ちょっと平っちの苦痛とは違うだろうけど。
「北見と苫小牧の施工、本決まりしたんだぜ。宿泊代は経費で落としてくれるみたいで、みんなでご飯食べに行ったんだ。それも経費でいいって、あの部長がだよ?」
なにそれ、ずるい。私の時は泊まりたければ自腹だ。って言ってたのに。足元を見られていたのはわかるけど。施工のオーダー抜きにしても、どうも釈然としない。
「私の方が不満っ。贔屓じゃないの、それ」
「どした、急に?」
変な奴と言いたげな、首を傾げた平っちに気を取られたわけじゃない。知っている香りと共に、真横を通り過ぎた人影に足が止まる。
「おはよ。昨日はお疲れさん。…ん? 何、俺の悪口?」
怪訝そうに、平っちの不満そうな顔と私の気まずそうな顔を交互に見る。
「おはようございます。工藤さん、何でわかったんですか? 助手席で無言なのはどうなんだ、馬鹿なのかって言ってたんですよ」
「あはは、馬鹿ってなんだよ。普段、運転ばかりだろ? 助手席の人の気持ちを知りたかったんだ。実は退屈なんだな、助手席ってさ」
「俺の気持ちわかってくれました? 音楽必要でしょ?」
「例え会話がなくてつまらないと感じても、音楽やラジオで逃げたくはないな。面白くないのかもとかさ、隣にいる人のこと考えながら運転するのは楽しいだろ?」
「どこが? やっぱこの人、馬鹿なの? 俺の時は逃げてくれていいですよ」
「あはは。悪かったよ、これはお詫び。おやつ」



