月曜日。揃って出社した私たちは、当然冷やかされた。
近づいてきた日下さんは不愉快そうに顔を顰めた。
『ニタニタして気持ち悪ぃな』
『日下主任、ひどいっ…』
『こら、会社でいちゃつくな!』
いちゃついていないのに、絡んでくる佐々木さんに彼は呆れた声を出した。
『佐々木さん、それは焼き餅ですか?』
『なんで今まで気づかなかったわけ? ほんと鈍いね、柏木は』
と、平っちが首を傾げていた。
『柏木、工藤と別れたら俺のところに来い。慰めてやるぞ?』
『ちょっと、佐々木さん。縁起でもないこと言うのやめてくださいよ』
『何だよ、ロリコン』
『いやいや、違いますって。それは佐々木さんでしょう?』
そんな佐々木さんに聞いたらしく、島野さんから電話がきた。
『あいつの態度は分かり易かったのに、お前は鈍感過ぎるぞ。あの時だってな面白いことを言っていたんだから、お前はあの場で笑うべきだったぞ…』
などと延々、私がどのくらい鈍いかを説明された。だけど、まともなことも言っていた。
『あいつはお前のことをきちんと見てきたんだ。お前もしっかりあいつのこと見てやれ。その想い、大事にするんだぞ』
てっきり、シュワッチと言うのかと期待していたが、『じゃ、また電話する。たまにはお前からも電話してこい』と、まともに電話が切れた。
私以外の全員が、彼の気持ちを知っていた。私だけが知らなかった。知らなかった話をたくさん聞いて、困惑しながらも彼に想われていると実感していた。
ゆっくりとそれでいてぎこちなく、私たちは一緒の時間を共有していった。



