優しい胸に抱かれて

 適度に休憩を挟み、それぞれ打ち合わせをする。また画面に向き直り、また打ち合わせを重ねる。そんな中、水元さんから連絡があった。どうやら彼らが上手くやってくれたようだ。

 講師としてお友達を紹介してくれたお礼と、サワイクラフト大通店でニットカフェの宣伝と広告を配布してくれると約束してくれたとの報告。店舗の施工を是非お願いしたいとのことだった。

「…では、月曜日お持ちします。はい、宜しくお願い致します。こちらこそ、ありがとうございます。はい。…失礼致します」

 電話を切って向かいの席を覗き込む。電話の会話を聞いていたであろう島野さんは、未だ画面に集中していた。

「決まったんならさっさと報告書上げとけ」

 と、ディスプレイに視点を合わせたまま不機嫌そうな声を出すも、その目元は緩んでいた。

「はい」

 現地調査の結果と報告書を添えて島野さんへ提出すると「鈍いけど字は読みやすいな」と、それだけ言ってまた画面を睨み始めた。あとは好きにしろということだ。

 島野さんを頼ってないわけじゃない。きちんと頼っているから、割と自由に私は動けている。

 ただ、電話をしろと何度となく注意されていても、私はそれができないでいた。


 設計担当する林くんへ、先方の要望を事細かく記入した報告書を渡す。

「居抜きなんだけどこんな感じで、お願い。月曜日、丹野さんと訪問よろしく」

「了解です」

 受け取った林くんはすぐさま紙とシャープで適当にデザインを描いて、マウスを操作し始める。