優しい胸に抱かれて

「大丈夫、私も初めての時があったから。頼りないかもしれないけど、大丈夫だから」

「…はい。なんか不思議ですね、柏木係長に大丈夫って言われたら何だか大丈夫って思えます」

 そう言われて私はほんのちょっぴり切なくなった。でも、それを何とか見せないように無理してケラケラ笑う。

「そう? 知ってるでしょ、私が先輩方からなんて言われてるか。鈍い、とか?」

「係長は鈍くないです! カッコいいですよ。保谷さんが言ってました、係長は丁寧な仕事をするから見習うべきだって。やっぱり追っかけてきて正解でした。私、もっともっと頑張ります! 早く係長みたいになりたいです」

 彼女は、いつの日か彼に聞いた[なぽり]のマスターに「どれもレベルが高くてどれも素敵で私たちも頑張ります」と言った張本人。

 当時の私の背中を押してくれたのも彼女だった。


 追っかけてまで入社してくるとは思わなかったけれど、こんな私でも目標とされているのには今でも戸惑うばかり。