優しい胸に抱かれて

 適当な席で腕を組んでしかめ面でいる日下さんのところへ歩み寄る。私が落とした影に目を合わすことなく口を開いた。

「何だよ? 茶番は終わったか?」

 日下さんはそう言うと、私の顔に何か白いものをぶつけてきた。あまりの突発的なことに目を瞑る。

「痛っ…」

「やる」

 その声に、目を開けると半透明のコンビニ袋が視界に映り込む。

「早く受け取れ」

 顔面に当てられた袋の先では、日下さんが腕を伸ばして面倒くさそうな顔で見上げていた。


もちろん、視線を合わすことなく。首を傾げながらもそれを受け取り、頭を下げた。

「ありがとうございます、頂きます。日下さん。…昨日はあんな態度取ってすみませんでした」

「どれのことだ? 無視したことか? それとも…」

「どっちもです」

 遮ったのは続きを言わせたくなかった。根に持っているのは私自身だから。

「…うるせぇよ」

 最後まで目を合わせようとしない日下さんの元から、それだけ伝えると静かに立ち去った。


 パソコンを立ち上げ、ネットで天気予報をチェックしスケジュールの再確認をする。

 日下さんから受け取ったコンビニ袋には、クッキーやらチョコレートやらおやつがたくさん詰め込まれていた。