優しい胸に抱かれて

「おかげで酔いが醒めて、二日酔いだ」

「それは…、ご迷惑お掛けしました」

「わかればいい。それとな、まだ課長は長島さんだからな!」

「私に言われても…」

「てめえから工藤にそう言っておけ」

 何で私が。と、眉と眉の間に深い皺が寄ったのがわかる。しかし、島野さんはそれに気づくことなく暴言を喚き散らしながら、フロアへと入っていく。目元を少し緩ませて。

「ふんっ。…あのやろう、ただじゃおかねえぞ。俺が課長になる2日には覚えとけよ。てめえが二課にいた時はしっかり管理できてたのか、くそったれめ」

 本当に口が悪い。それでいて、大人げない。

 佐々木さんがいない今、島野さんを止める人がいない。だけど、佐々木さんがいてもややこしくなるだけのような気もする。

 それで、日下さんが付き合わされていたのだとしたら、何の乗り物のブレーキだったのだろう。自転車以下だと思う。


 島野さんたちに続いて作業場へ体を滑らすと、机の上には昨夜預けたバッグがポンと置いてあった。[重い。いったい何が入っているんだ?]という付箋付きで。
 
 こうなると、2、3日困らない程度の着替えが入っているとは口が裂けても言えなくなった。