コーヒーを飲もうと、カップに口をつけると、
「これで、いつでもお泊りできるね? あっ下着は一度洗ったほうが良い? ホテルのクリーニングにお願いしとくよ!」
「ぶっ! あっちぃ…」
「遥、大丈夫?」
下着をクリーニングって?
嘘でしょ?……
「西園寺さん、まさか下着もクリーニングに出してます?」
「いや、時間の空いた時に、コインランドリーで洗ってるよ!」
「ですよねぇ? ホッとしました。」
「俺が、下着洗っておいても良いけど、レースだと洗い方とかあるでしょ? クリーニングの方が安心だよね?」
「いいえ! 持って帰って、自分で洗いますから!」
「わざわざ、持って帰らなくても?」
これだけは、譲れない!
「絶対に持って帰ります!!」
下着をクリーニングだなんて、ありえない!
何がなんでも持って帰る!
西園寺さんと、並んでソファーに座り、テレビを観てると、
『今、人気急上昇中の小野寺郁人さんです。今度ドラマに出られるそうですね?』
『はい! 初めてで緊張しますが、共演者の皆さんに迷惑かけない様に頑張ります!』
「あっ郁人! 彼、カッコイイですよね? へー今度ドラマに出るんだぁ? 楽しみ!」
「………」
「西園寺さん? どうかしました?」
なんか機嫌が悪くなった?…
「いや、別に?」と、言って、チャンネルを変え、お笑い番組を見て笑ってる。
気のせいだったかな?
夕飯を食べて、アパートまで送ってもらう。
「金曜日は早番に変わったんだよね? 帰りに迎えに行くよ?」
「あっ、金曜日はお休みにします。有休残ってるし、麗華ちゃんが変ってくれるって言ってくれたんで。」
麗華ちゃんの言葉に甘えて有給を取ることにした。
初めてお邪魔するお宅にあまり遅くに伺えない。
ましてや、小さな子の誕生日パーティーを、夜遅くにする訳がない。
多分、勝司さんは、私が必ず来るように、あんな事言ったんだと思う。
「良かった。俺、明日から水曜日まで、東京へ出張で、会えないんだよ。 木曜日早番だよね? ホテルに来てくれる? 金曜日は一緒に出かけよう?」
「はい! じゃ気をつけて帰ってくださいね? 出張も気を付けて?」
「うん。」
玄関でチュッ!と、キスをして、西園寺さんは帰って行った。

