17時になると、直ぐに麗華ちゃんに声を掛ける。
「麗華ちゃん、後、頼んで良いかな?」
「はい。珍しいですね? 遥さんがチョキ(ちょっきり)で帰るなんて? もしかしてデートですか?」
「うん。…… お先!」
麗華ちゃんが、ニヤっと顔するから、恥ずかしくなって、急いで売り場を離れた。
事務所により、商品部からのメール確認をして、
「お先に失礼します。」と挨拶をして、事務所を出ようとしたら、ちょうど、副店長が入って来た。
「遥あがりか? お疲れさん!」
「あっ副店長、ちょっと良いですか?」と声を掛け、小声で、
「昨日は、有難うございました。 西園寺さんとお付き合いする事にしました。」と報告する。
すると「遥、そうか? 男、出来たか? 良かったな?」と、大きな声でいう。
ハァー!?
このクソ親父、人が小さな声で言ってるのに…
私は、副店長を睨みつけると、後ろから声がかかる。
「渡瀬さん、彼氏出来たの? 俺…失恋したって事?」
振り返ると、そこにはがっかりした、木下さんがいた。
木下さんが居たから、副店長は大きな声で言ったんだ?
まぁ許してやるか?
私は苦笑する。
「アハハ… お陰様? じゃ、お先に失礼します。」と、事務所を後にする。
ホテルに着くと、西園寺さんにメールをすると、直ぐにロビーに来てくれた。
「遥ちゃん、ごめん。 もう少し時間かかりそうなんだ、部屋で待っててくれる?」
忙しいのに…
私の為に、時間を作ってくれるのは、申し訳ない。
「あの…お忙しそうなので…私帰ります。 …お食事は、またにしましょう?」
「ダーメ! 30分くらいで終わると思うから、待ってて?」と、ルームキーを渡された。
待ってて、と、言われ嬉しくて笑顔なる。
「はい! 待ってます。」

