双子の御曹司


彼の声がちょっと、寂しそうに聞こえたのは気のせいだろうか…

「そんな迎えだなんて…」

『遥ちゃんは逢いたくないの?』

「えっ…逢いたい…です…」

逢いたい…

昨夜だって、別れてそんなに時間立っていないのに、電話を切った後、彼に逢いたくなった。

寂しさに、小さな声になってしまった。

『じゃ、帰りにこっち寄ってよ? 一緒にご飯食べよ?』

「はい!」

『楽しみにしてるよ! じゃ後で?』

電話は切れた。

彼の声を聞けた嬉しさと、今日会える嬉しさに、スマホを胸に握りしめていると、凪沙は、私をニヤニヤと、見ていた。

「あら? 今日も、お子様デートですか?」

「お子様デートだっていいじゃん! 放っといて!」

口を尖らせてそっぽを向く、私を、更に凪沙は笑う。

「遥、かっわいい!」

何を言われようが、別にいい。
今日も彼に逢えると思うだけで、嬉しいくて、頬が緩む。