「遥、笑ってられないよ?」
「なんで?」
「お局様さ? 最近、あの木下さんを狙ってるんだって!」
「ウソ? だってお局様、木下さんより8つも年上じゃない? 確か40?」
「自分より年上だと、ほとんど結婚してるし、残ってるのは外見が悪いか、なにか問題がある人でしょ?」
「一概には言えないと思うけど?」
まじですか?…
会議も終わり、それぞれが、各売り場へと戻り始め、私達も廊下へ出たところで、後ろから声がかかる。
「渡瀬さん、企画の事だけど、パズルを組み立ててる姿の親子の写真を撮るって言ってたでしょう? 俺、カメラ好きでさぁ? 結構いい腕してるって、言われてるんだよね?」
「そぅなんですか?」
「だから、企画手伝ってあげようか?」
あくまで、写真はおまけであって、企画に参加した人達も、そこまでの写真は求めてないと思う。
「え? あっ有難うございます。でも、商品部の人にお願いしてありますので…」
「そぅなの? でもさー、わざわざ頼まなくても俺が…」
一緒に居た凪沙が、木下さんの話を遮る。
「木下さんうちの方、お願いしていいですか? ねぇ桜井さん、お願いしませんか?」
なんと後ろにお局様が居たのだ。
ぅわーなんか私睨まれているような…
その顔、怖いんですけど…
「そぅね? 木下さんお願いしていいかしら?」とにっこり笑うお局様。
今さっき、私を見てた顔と全然違う。
「じゃ、私はお先に失礼します。」と足早にその場を去った。

