お見合いを明日に控えた火曜日の朝。
「おはようございます。」麗華ちゃんが出勤してきた。
「麗華ちゃんおはよう!」
「あれ遥さん? 佐野さんは?」
今日、麗華ちゃんは中番で、私が遅番の筈だった。
だが、
「今朝、早くに電話があって、娘さん喘息の発作が出たらしくて…。」
「そうなんですか? 可哀想… 娘さん小学生でしたっけ?」
「うん。喘息は大人になると出なくなる人も居るらしいけど… 治ると良いよね?」
「じゃ遥さんフルですか?」
「そうなるね…」
「えー、5日連チャンで、フルじゃないですか!?」
「仕方ないよ。たまには、こういう事もあるよ!」と苦笑する。
「遥さんは、たまにじゃないですよ!…」
麗華ちゃんは「明日お見合いですよね?」と呟いて何やら考えているようだった。
ん?
すると麗華ちゃんは「ちょっとバックヤード行って来まーす。」と売り場奥の扉を出ていった。
暫くして麗華ちゃんはご機嫌で戻って来た。
「どうしたの? ご機嫌じゃない? 良い事あった?」
「うふふ何でもないでーす。」
どーせ、水野の事でも思い出してたんでしょう?
「あ、そぅ?」と私は微笑する。
そろそろお昼休憩にしないとね?
「麗華ちゃん休憩入って良いよ?」
「遥さんお先にどうぞ? 朝からだからお腹空いてますよね?」
「良いの? じゃーお先に!」
お腹が空いていたから正直助かった。
佐野さんからの電話で起こされて、慌てて支度して出勤したので、朝食を取る時間がなかったのだ。
食堂へと歩いていると、後ろから「お疲れ!」と肩を叩かれた。
「あー凪沙おつかれ!」
「遥。今日遅番じゃなかったの?」
「うん。佐野さんの娘さんが、喘息の発作が出たらしくて…」
「ってなにまたフル?」凪紗は驚いて口を開けている。
私は「まぁねぇ?」と苦笑する。
「ゴールデンウィークは8連勤だっけ? で、今回はフルを何勤するつもり? 休みの日は、子供番組観てるか、近隣店舗の視察行ってるんでしょう? あんた本当、仕事バカだよねぇ? 適当に力抜かないとマジ体壊すよ! ってか彼氏出来ないよ! もぅ私が紹介しようか?」
心配してくれてる凪沙だが、明日の見合いの事は終わるまで黙っとこ! 大騒ぎになりそうだもん…
「明日は休みなんで、部屋で大人しくしときます。」
「大人しくじゃなくて、合コンでも行ったら! なんなら、メンズカジュアルのほら誰だっけ? えーと、木下さんなんてどう? 遥を狙ってるって噂じゃん!」
「パス! 軽そうだもん!」
見た目はイケメンの部類だが、誰かれ構わず声を掛けていて、私には軽そうに見える。
私のタイプじゃない。
「確かに、遥のタイプじゃないわな?」
今日のAランチは、ささみの梅しそフライ定食 Bランチは煮魚定食だった。
「おばちゃん日替わりのAランチと親子丼。」と凪沙が注文する。
「私はBランチお願いします。」
「遥そんなんで足りるの? 今日ラストまでやるんでしょう? もたないよ?」
「大丈夫。 凪沙の食べっぷり見てるだけで、お腹いっぱいになるから? それだけ食べても、そのスタイルだもんね? 凄いよ羨ましい。」
「今はとくに、年下の彼のエッチ凄くってさぁ?栄養つけないと、もたないのよ!」と凪沙は笑う。
「昼間っから何言ってるの!!」
もう…
凪沙はこういう話、周りに人が居ても平気なんだから!
聞いてる私方が恥ずかしくなるよ!