双子の御曹司


出掛ける時は「本当に、大丈夫か?」と何度も聞いて最後には「もうしつこい! 早く行って!」と追い出したくらいだ。

西園寺コーポレーションは、まだお休みだけど、ホテルには、年末年始のお休みはない。お正月でもスタッフは働いてる。その為、竜仁さんは、新年のご挨拶に行かなくてはいけない。

私は午前中洗濯や掃除をして過ごしていた。
ちょうど、お昼になると優里さんが食事を届けに来てくれた。

「遥さん体はどう?」

「はい、もう大丈夫です。たっちゃんが過保護すぎて、鬱陶しいくらいです。」と苦笑する。

でも優里さんは笑っていない…

「優里さん? どうかしたんですか?」

「遥さんごめんなさい…かっちゃんに聞いたの…赤ちゃんの事。 病室に行った時、みんなの様子が変だったから…」

私の意識が戻った時、流産の話を聞いた勝士さんも涙を流してくれた。
優里さんが入って来た時、慌てて涙を拭いていたので、何か感じ取っていたのだろう。

「優里さん…そんな顔しないで下さい。その事はもう忘れて下さい。稔君の耳には入れたくないので…私も忘れますから…」

私は胸元にあるネックレスを触る。
お母さんとお父さんは、あなたの事ずっと忘れないよ…?

「ありがとう。私に出来る事があったら、なんでも言ってね?」

「はい…有難うございます。 あっ早速ですが、冷蔵庫が空っぽで、買い物に行きたいんですけど、ひとりで行くと、たっちゃんが鬱陶しいくらい心配するので、一緒に行ってくれませんか?」

私は話を変え、明るく笑って言った。

「で、…出来たらK店に行きたいんですけど…たっちゃんには内緒で…」

顔の前で両手を合わせてお願いした。

「遥さん? あなたまさか、仕事に行くんじゃないわよね?」優里さんは目を丸くして驚いている。

「チョット覗くだけです。」

私は親指と人差し指でチョットとして、ウインクをした。
優里さんは呆れた様で、大きなため息を付く。

「もう…あなたという人は…少しだけよ!? まだ無理しちゃいけないんだから!」

「有難うございます。すぐ支度します!」

慌てて支度しようとすろと、

「遥さん! まず食事しましょう!?」と、優里さんに、怒られてしまった。

「あっ…そうでした。アハハ…」

優里さんの作って来てくれたビーフシチューと手作りパンを二人で頂いた。

「とっても美味しかったです。ご馳走様!」

私は慌てて席を立つ。

「後片付けは、私がするから、遥さんは、出掛ける支度しなさい。 食事も落ち着いて出来なかったみたいだから?」

後片付けをしようとした私に、優里さんが、そう言ってくれたので、舌を出して「すいませんお願いします。」と言って、支度をする事にした。

K店に行くと、優里さんには、カフェ水の妖精で、待っててもらう事にした。
事務所に顔を出して「お疲れ様です。この度はご迷惑をお掛けしました。そしてお見舞いまで頂いて有難うございました」と店長に挨拶をし、「これ皆さんで…」と、事務の笹倉さんに手土産を渡した。

「体大丈夫なの? 交通事故って聞いてびっくりしたわよ?」

「ご心配お掛けしました。やっと昨日退院しました。打撲程度で済みました。 私ってけっこう丈夫みたいです。」と、笑う。

「渡瀬さん、それだけ元気なら大丈夫ね? 副店長すごく心配してたのよ? 今呼ぶわね?」と笹倉さんは店内放送をかけようとしたので、「売り場へ行くついでに、店内探してみます。」と、言って事務所を出ると、玩具売り場へ向かった。佐野さんと、麗華ちゃんは、私の顔を見て驚いていた。

「チーフ!大丈夫なんですか!?」
「遥さん!?」

「ご心配をおかけしました。ゴールデンウィークの計画書ってどうした?」
私は、二人と仕事の話をしていると、後方から槍の様な怒りの視線を感じた。